私にかつてないほどの心身にダメージを与えた彼氏がいた。
この彼氏のことはいまだに複雑な気持ちを持っている。
私は当時付き合っていた彼氏と別れることになり自暴自棄になり
もう死んでしまいたいと思っていたし、死ぬ気だった。生まれて初めて全身全霊で愛した男だった。
そして燃え尽きた。
彼がいない人生を生きるくらいなら死んでやると思った。
その時に出会ったのが、彼だった。私はこの男と出会い付き合うことによって、生きることができた。
そしていまがある。この男と出会わなかったら、死んでいただろう。
私は周りがみえなくなるくらいこの彼氏に夢中になった。死ぬ気も失せるくらいに。
恋に落としてくれてありがとう、生きる活力が戻るくらいの情熱をくれてありがとう。そう思っている。
でも恋愛には法則がある。全身全霊で愛した男は私に最高級の幸福を与えてくれた。
そしてそれは喪失した途端に、死にたくなるほどの絶望と悲しみに姿を変える。
彼と出会ったことで生きることができた。
でもこの男と付き合ったことで私は傷つくことになった。
今まで味わったことのないほどの大きな傷を彼は私に残した。
私をもっとも助けて、そして傷つけた男。
私はこの傷を癒せる薬の作り方を知らない。
作り方のレシピがあれば良いのにと思う。
別れるたびに思う。
この人は私なしの人生をこれから生きていくのね、と。
もう二度と会わない…これが本当の別れだ。
別れても連絡を取り合ったり、会っているような間柄は別れたうちに入らない。
未練を引きずらない薬の作り方なら知っている。それは別れたあともお互い
好きなように相手に連絡をすること。何らかの形で関わり続けること。
でも私は彼にはその薬を使いたいと思わない。
彼とは終わったままにしたほうがいいから。
だから、私の命を助け、そして、それ相応の傷を残した彼には
愛しさと感謝の思いがある一方で、でも悲しくて痛い…。
私にこんな複雑な感情を抱かせた初めての男。
彼の番号を着信拒否にして縁を切った。
どうかお幸せに、と心の中で願いながら。